娘が通う幼稚園では、毎週絵本を持ち帰って親が読み聞かせ、その感想を親がノートに書いて提出という素晴らしい宿題があります。
が、いざ始めてみると娘の感想がひどい。あごが外れるほどひどい。
「あそこの場面で誰それが○○と言ったのがおもしろかった」
以上。
私や夫が時間をかけて、情感たっぷりに読んだ本の感想がそれだけ。毎回この調子なので、もはや親にとって「ふれあい」とはほど遠い「拷問」の時間になっています。
そこで、私のイライラを解消すべく感想を引き出す方法を考えました。
「おもしろい」「つまらない」「なんでだろう」など、何でもよいです。どこの場面でそう思ったかを子供に言わせます。
1で「なんでこの場面がおもしろかったんだろう」と深く掘り下げさせてみることが重要。ただ、あまりしつこく子供に聞くと、だんだん尋問されている容疑者みたいな気持ちになるようで、泣き出します。
完全に取り調べの時間です。
もし自分がこのお話に入ってしまったらどうなのかを考えてもらいます。自分はどんなふうに考えて、行動するのか。実はこれがオリジナリティあふれる感想になるコツだと勝手に考えています。
これで体裁の整った感想が書けるはず! と思って、彼女に「はだかのおうさま」を読み聞かせたところ——長すぎて途中で飽きてよそ見をするという暴挙に出ました……。
ので、私も「娘は仕立て屋が何もないものをチョキチョキ切るのがおもしろかったと言っていますが、途中で飽きてよそ見をしたのでおもしろくなかったんだと思います」とノートに書いて暴露してやりました。
大人の場合は起承結で組み立てると書きやすいです。(小論文にも使えるテク!) 400字で書くことを想定した場合「起:100字 承:200字 結:100字」くらいでざっくり割り振りましょう。原稿用紙があれば、その文字数のところに印をつけておくと書きやすいです。
そのあと、「結」である結論をまず考えます。そこに持って行くには、どういう小話を最初にすればよいか。その小話が「起」です。いわゆる「つかみ」の部分です。
あとは妄想をふくらませて「承」を書きまくります。とにかく文字を埋めます。小耳に挟んだこと、勝手に考えたこと、なんでも書きます。多分あっというまに200字になります。私は出典があやふやでも「以前新聞で読んだ~~」なんて書いてごまかしたりします。出典をいちいち表記する必要はないです。だって感想文だもの。(そのかわり、論文などは出典が必要ですよ! 言うまでもなく。)
例として、私が青空文庫の「はだかの王さま」の感想文を400字で書いてみました。参考になるかどうかは謎ですが。
子供の幼稚園の宿題で、久々に「はだかの王様」を読んだ。が、これが実に面白くない。これで感想を書けなど、大人の私でも無理難題だ。しかし、少し読み方を変えただけで、世界がガラリと変わることもある。
基本的にこの話は王様の愚かさをディスっているお話だ。だが、物語中で王様は「もしわしがその布でできた服を着れば、けらいの中からやく立たずの人間や、バカな人間が見つけられるだろう」と考えている。私はこれを読んで王様は阿呆ではないと確信した。ということは、詐欺師ふたりを見て「ああ、こいつらは俺を騙しているな」と気づいたはず。ではなぜ服を着ずに行進をしたかというと、結論はただひとつ、王様は露出狂なのである。
自分が何も着ていないことを誰も突っ込めない立場。それを利用して自分の嗜好を満たすために行進したと言えよう。子供に「王さまははだかだぞ!」と言われたときの彼の喜びを思うと、非常に胸が熱くなる次第である。
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この記事を書いたヒト
ふたりの子供(姉・弟)を育てながら働く、ゆるだら兼業主婦。トリュフを探す豚のように、おいしいものや楽しいことに貪欲です。料理を作ってストレス発散する日々。