• 2017/08/18

高知現代美術の父・高﨑元尚先生の新作展を見てきました!

現代美術って難しい?いえいえ、そんなことはないんです! 高知現代美術の巨匠・高﨑元尚先生の新作展を見て、現代美術の「大人も子どもも楽しめる」敷居の低さを実感!

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高﨑元尚先生におかれましては、この新作展期間中の、2017年6月22日0時27分に永眠されました。
謹んでご冥福をお祈り致します。

※この展示は2017年7月23日に終了しており、当記事はその観覧レポートとなります。ご了承ください。

高知県立美術館で2017年6月17日(土)~7月23日(日)に、高﨑元尚先生の新作展が開催されました!
高﨑元尚(たかさき もとなお)先生とは、1923年香北町に生まれ、90歳を超える現代まで精力的に創作を続けた、高知県が誇る偉大な現代美術作家です。また母校・土佐高校で長らく美術教師として指導にあたられ、多くの美術家を育成してもいます。

先生の高知アート界への影響力・貢献度は計り知れず、「高知現代美術の父」と呼んでも決して過言ではありません(と、僕は勝手に思っております)

そんな高﨑先生が、94歳となる2017年にまさかの新作展を開催する、(そして会期中にお亡くなりになり、最後の個展となった)という報を聞き及び、「これは絶対に見ておかなければ!」と強引にスケジュール調整し、行って参りました!

取材の都合上、展示終了後の観覧レポートとなりましたが、ご了承ください。

 

現代アートってワケわかんない?・・・それでいいんです!
高﨑作品のよくわからないけど不思議な魅力

7月23日、展示期間最後の日ギリギリに、高知県立美術館にやってきました!

まずは第1展示室へ。

入っていきなり、結構な広さの何もない空間が。
この「何も無さ」が作品なのか???

周りをキョロキョロ見回すと、壁に「密着 STICKING」の文字が。どうやらこれがタイトルのようです。

よ~く見ると壁一面に、ステンレスのような材質の何かが貼り付けられています。
どうやら、この壁そのもの?それともこの壁に囲まれた空間?はたまたその両方?・・・とにかくそれらが、作品のようです。
(※実際は壁に貼り付けられた材質はステンレスではなく、鉛なのだそうです/後日美術館員の方に取材)

初っ端からすごいインパクトです。

その部屋の奥にはまたしても、何やら意味ありげな部屋が。
先ほどよりは立体作品ぽい、か・・・?

「立体作品ぽく」なったものの、難解さは相変わらず。
建築資材のようなものを粉砕し敷き詰めたオブジェが、部屋全体を占めています。
「現代美術の崩壊」というタイトルは、わかるようなわからないような・・・。
(※こちらも素材は「波型スレート」という建築資材だそうです/後日美術館員の方に取材)

次の部屋には、「LANDSCAPE」というタイトルの鉄骨を組み上げたような巨大なオブジェ。どの作品も巨大ですが、これは天井ギリギリ、壁ギリギリまで迫っているので、特に圧迫感がすごい!

全体像はこのような感じ。奥の人影と比較すると、このオブジェがいかに巨大かわかるでしょう。
今回、高﨑先生は94歳での新作展ということですが、こういった巨大な作品はどのように制作したのでしょうか。スタッフに指示して組み上げた・・・とか?
(※高﨑先生の指示のもと、建築業者が組み上げたそうです/後日美術館員の方に取材)

一番奥の部屋には、「LANDSCAPE 1/2×1/2」という作品。
高﨑先生の作品は幾何学的でコントラストが強いので、モノクロ撮影がよく似合います。

そして、第2展示室に向かいます。
こちらは第1展示室以上に広い部屋だったはずですが、はたしてどんな作品が・・・

 

どひゃ~~~!!!

 

広大な展示室の床全面に、粉砕したブロックが敷き詰められています。ただそれだけ。
材料と時間さえあれば誰でも作れるであろう、めっちゃ単純な作品です。

でもこのシンプル極まりないブロック群が、圧倒的な質量で心に迫ってくるようで、何とも言えない不思議な魅力を感じるんですよね・・・ずっと眺めていられるような。

 

「現代アートとか、よくわかんない」

「コンクリブロックを割って並べただけじゃん、誰でも作れるし」

「とりあえずアートって言えば、何してもいいの?」

・・・などなどが、アートについて誰もが感じる疑問や、ミもフタもない感想かと思います。

 

僕は子供の頃から美術が好きで、絵を描いたり、美術館に通ったりしてました。美術大学にも行きました。
そんな僕ですが、ハッキリ言って、僕にもよくわかりません。

でも、それでいいんです!

 

小難しく考えず、感じたままを楽しむこと、それがアートを楽しむコツなのです!
(・・・と、僕も先生に言われてきました)

好きでも嫌いでもいい、よくわからなくてもいい、それがアートなのだと。

 

そして、誰でも作れそうに見えるけど、きっと僕が同じようにブロックを割って並べてもなぜか同じような雰囲気は出せないんですよね~。
それがアートの不思議で面白いところ。

 

写真撮影OK!作品に乗ってもOK!
不思議な親しみやすさで、公園のような楽しい空間に

 

作品はすべて写真撮影、SNSアップOKになっていました。
ミュージシャンのライブ等でSNSアップOKというのは聞きますが、美術館で許可されてるのは初めて!
進歩的と思われる東京ですら、僕は聞いたことありません。

しかも第2展示室のブロックを敷き詰めた「COLLAPSE」に至っては、上に乗って歩いてもOKという太っ腹!
そんなもんだから、観覧客はみんな・・・

上に乗りまくり!

写真も撮りまくり!

 

こんなことってアリ?
何というか、僕の知ってる美術館の雰囲気とぜんぜん違う!
現代美術なんてのは、難解で哲学的な立体物が仰々しく飾られてあって、その前で評論家然とした意識高い系の観客が解釈を語っている・・・そんな一般人を寄せ付けない高尚(っぽい)場だったハズです!

それがこんな、親子連れが楽しむ公園のようなほのぼのさ!

 

後日美術館員の方にお話をお聞きしたところ、寝っ転がる人もいたとか。

しまった~僕もやっとけば良かった!(1人でやってたら変態です)

 

そもそも高﨑先生の作品にしても、どれも破壊された資材を使ってタイトルも「崩壊」とかいって、もっと不穏な雰囲気になってもおかしくないハズ。
それがどの作品にも拒絶感がないというか、親近感があるというか、簡単に言えば怖くない!
穏やかで優しげな、包容力を感じさせます。

これが高﨑先生の創作力がなせる業なのか、「写真撮影OK」という距離感の近さがそうさせるのか・・・何とも不思議な展示でした。
(※あくまでも僕の個人的な感想です)

作品の上を歩くお子さんを、記念撮影するパパ。
ただの割れたブロックなんですけどね(笑)
でもなぜかフォトジェニックで、これすらもアートの一部のような。

先ほどの「密着 STICKING」の前で、娘さんの写真を撮るママ。
だから、これもただの鉛の壁なんですけど(笑)

「今度はママを撮ってあげる」という息子さん。
とても美術館での光景とは思えない、親子で遊園地にでも来たような楽しみ方。

東京でも色んな美術館に行きますが、こんなにアートが身近で、満喫されている展示は見たことありません。素晴らしすぎる!

高﨑先生のお写真と、こうした「破壊モノ」シリーズ創作のきっかけについて。こういったエピソードも、今回始めて知りました。

本当に素晴らしい展示会でした~!

 

取材協力:高知県立美術館


 

この記事を書いたヒト

chochono

東京、中目黒在住のダンサー。fulsatoto編集長。魅力的なhitoへのインタビュー、東京での高知文化の活躍などを紹介します。